肌への効果

長期化した創傷治癒の改善について

執筆者名:MORISHIMA, ATSUTOMO; INAGAWA, HIROYUKI.
論文名:Improvement in Protracted Wound Healing by Topical Cream Containing Lipopolysaccharide Derived from Pantoea agglomerans.
雑誌名:Anticancer research
発行年,巻号:ページ: 2018, 38.7: 4375-4379.
URL:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29970576

パントエア・アグロメランス由来のリポ多糖を含有する外用クリームによる長期化した創傷治癒の改善

背景/目的:リポ多糖(LPS)の創傷治癒効果は、異物の除去、抗炎症機能、および組織修復機能を誘導する能力に起因すると報告されている。小麦中に存在する共生細菌で、安全性が確認されているパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)由来のLPSを含有する外用クリームの経皮投与によって、創傷治癒が長期化している患者での改善が報告された。
患者と方法:インフォームドコンセントの後、創傷治癒が長期化している4人の患者に、LPSを含む外用クリームを塗布した。創傷の幅、長さ、および深さから計算したおおよその創傷体積の変化に基づいて創傷を評価した。
結果:症例1:76歳の男性は、右下肢静脈瘤の血管内レーザー治療後に穿刺部位に感染が起こり、創傷治癒遅延があった。創傷をLPSを含むゲンタマイシン塗布で処置すると、2週間で収縮した。
症例2:72歳の男性が、左下肢静脈瘤の血管内レーザー治療の1週間後に創傷感染が起こり、排膿があった。創傷は、LPSを含むゲンタマイシン塗布を用いて1ヶ月で閉じた。
症例3:67歳の女性は、急性大動脈解離の外科的処置後に右鼠径部に感染が生じて創傷治癒遅延があり、離開創が起こった。LPSを含むガーゼパッキングの1週間後に創傷が縮小したので、一時的に縫合した。創傷は、LPSを含有するゲンタマイシン塗布で2週間で完全に閉じた。
症例4:86歳の女性が脳梗塞後に寝たきりになり、仙骨部に圧迫性潰瘍を発症した。潰瘍は、LPS含有糖およびポビドンヨードを1日2回処置して4ヶ月で消失した。
これらの患者のいずれにおいても、LPS塗布による副作用はなかった。
結論:糖尿病において、創傷治癒遅延の原因の1つは、マクロファージの貪食活性のような自然免疫機能が低下していることにある。LPSは自然免疫を高めることにより、治癒を促進することが期待予想され、本症例では、創傷治癒を促進する有益な効果が明らかに示された。LPSの外用は、臨床的に創傷治癒に有効であり、新規な治療方法としての可能性があると考えられる。

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